「心理学っていうのは……」


言いながら、持っているペンをクルックルって回転させて遊んでる。


(綺麗な手……)


また見とれちゃう。

しかも、昨日この指で触れられたんだ……なんて思い出してみたり。


「人の行動から心の動きを読み取り、科学的に分析する。シンプルに言うとそういうことかな」

「ふーん」


とりあえず相槌はうったけど、正直よくわかんない。それに今は、心ここにあらず(?)状態なあたし。

そんなことを考えていたら、目の前のつぶらな瞳がゆらりと動いて突如、目が合った。

“吸い込まれそうな”とは、こういう瞳のことを言うんだ、きっと………なんてまた妙な関心をしていると、


「例えば、時田の心の中を読む」


顔をのぞきこまれた。


「あたしの、心の中?」


聞き返すと小さくうなづいた彼は、ますますあたしの顔をのぞきこんで来て。気がつくとさっきより距離が狭まっている。

近くで見る辻之内の瞳は、茶色がかっていて色素が薄いみたい──なんて発見してる場合じゃない。

だって、この距離ってばちょっと近すぎないかな?