別に体調が悪いわけじゃない、ってわかってて大丈夫?だなんて優しい素振りを見せて、あたしが赤面するのを面白がって触れてたなんてどんだけ趣味が悪いのよ?

って、本当だったら文句の5個や6個くらい言ってやりたいとこだけど……でもなんでだろう?

そんな苦情をぶつける気が失せるのは、きっとこの飄々とした態度のせいだと思う。

全部知っててやってましたってカミングアウトしても、あくまでもマイペースな奴。


「ねぇ、ところでいまって何時なの?」

「えっと…」


言いながら辻之内が、ベッドを囲んでるカーテンを開けた。

壁掛け時計の針が指しているのは、10時10分か……。