送信ボタンを押して携帯を閉じようとした時


「……?」


視線を感じた。

恐る恐る顔を上げてみると ──


あれれ……っ。
もしかして、また注目集まってる?


「時田ー?」


でもなんで?
なんで、みんなであたしを見てるの?


呑気にキョロキョロと辺りを見渡していた次の瞬間、


「時田 湊(ときた・みなと)っ!」


キジモンの怒りに満ちた声が教室中に響き渡った。



「時田、今すぐ机の下の携帯を出せ!!」


ってウソ!? やっばぁー。
これってピンチでしょっ。


ドキドキと心臓が鳴り出す。

バン!と音を立て教卓に出席簿を置いたキジモンの、その左足がゆっくりと歩み出て、

鼓動が急ピッチで加速する。



そしてそれは、膝の上で握り締めた携帯をゆっくりと机の中へ隠そうとした、その時だった ──


ガラガラガラッ!!


突然、教室の扉が勢いよく開かれたんだ。

しかもそれは黒板や教壇のある前側の扉で……。