「次は女子なー。青田」「はい」

「伊藤」 「はい」


律動的な声の羅列に睡魔がまた引き出されていく。


「今井」 「ハイッ」 「上野」 「はい」


でも、膝の上で起きた小さな揺れに目を覚まされた。

ブレザーのポケットに入れておいた携帯が振動したのだ。


……… 「はい」 「上地」 「ハイ」


画面を開いてメールをチェックする。
差出人は、親友でクラスメイトのリカ。



  From 工藤 リカ

   Sub はぁ い

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  王子来ないね~
  今日もボサリってカンジ(・・?



── 「鈴木」 「はい」 「瀬戸」……


キジモンの声をBGMに返事を打った。



  To 工藤 リカ

  Sub Re:はぁ い

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  きっとたぶんね :-)



だからあたしは、


「時田ー?」


その時メールしてて、自分の名前が呼ばれてるなんて気付けなかった。