白に近い水色をした体

その背中に生えた金色の翼 ――


あなたの前で大泣きしたこともあったのに。

今日はとっても優しく見える。



去年の3月。


通学用に着ていたのは、黒っぽい地味目のコートだった。


受験にもそれで行こうと思ってたんだけど。

お母さんが間違えてクリーニングに出したおかげで、白いコートを来て家を出たあの日。


『コートがない!』って騒いでいたせいで遅刻しそうになって。

慌てて学校へ行ったんだ。



ねぇ 辻之内。


白を着てなくても、あたしを見つけてくれた?


ここに天使のイルミネーションがなくても、あたしのことを ――



思わず彼の制服をキュっと掴んだ。


「どうしたの?」

「…ううん。なんでもない」


そう言って今度は、あたしが後ろから抱きついた。