せっかくだからイルミネーションが点るまで待っていよう、ってことになり。
歩道橋の手すりに頬づえをついておしゃべりを続ける。
「寒くない?」
って後ろからあたしを包みこみながら耳もとで囁いた辻之内。
こういうことをどこでも平気でやっちゃう辻之内に、あたしは時々戸惑いを隠せない。
ドキドキもするし、うれしいんだけど。
でもやっぱり恥ずかしい。
しかもここはウチの近くだから、誰か知ってる人に見られたら……
なんて別の意味でのドキドキもあるから。
「もうひとつ、教えてほしいことがあるんだけど?」
顔を後ろに傾けながら訊いた。
「なに?」
って訊き返してくる声が耳をくすぐる。
「横浜でみんなでゴハン食べた時に言ってたでしょ? あとで教えてくれるって」
そこまで言ってもまだ思いだせないみたいだから、続きを告げた。
「オコチャマ熱の話!」



