「ねぇ さっき言ったでしょ?
『ずっと悩まされてたのに、振り回すようなことしていて……』って」


そう。それはかなり疑問だった。

だって悩まされてたのも、振り回されてたのもあたしだと思ってたから。


「言ったよ。学校が始まってから時田の態度がおかしくなったと思ってたから。なにがあったかわからなくて。

ちゃんと言葉にしなきゃダメなのかって。だから化学の授業で二人で準備室に行ったとき伝えた。でも時田は…」


「ちょっと待って!」


いきなりのあたしの制止に、彼の瞳は戸惑っている。



「『伝えた』?……あのとき辻之内が言った『好き』って、『ずっと好きだった』ってあれって…」


「もちろん時田のことだよ」


「えっ? だってそれは幼なじみのカノジョのことじゃ」


あたしの言葉に辻之内が眉を寄せる。


「どうしてそこでリサが出てくるの?」


えっ リサさん?

ココさんじゃなくて……。


「じゃあ“天使”っていうのは?」


「時田のことだよ」