「中島が途中でバックレた、あのカラオケ行った帰り道に。

時田んちの前に着いてからがいいか、それともここらへんで言っちゃおうかって思ってたとき、アイツの姿が目に入って」


「……」


「なんだよーこんな時に!って思って時田の顔見たら ――


―― 告白しようなんてそんな予定、実行できなくなったっていうか。

いま言っても叶わないどころか、時田のこと困らせるだけだなって思ってさ。やめといたー」



最後の語尾を妙に間延びさせて、彼は笑った。


そして、なんの言葉を返せないでいるあたしに気を使って、また話しだす。



「それにしても駅までってどこ行くのー?」


「あっ 横浜……?」


「『ヨコハマ?』って時田ー、疑問形かよーーっ」



ウヒャヒャって声を張り上げて笑う。



ホント、どこまで優しいんだろ……。



ありがと。



ごめんね ――?