校門を抜けて走る。
不安な気持ちがないわけじゃなかった。
むしろ不安でいっぱいだった。
勢いで飛び出して来たものの、
会えるのかも
会えても、また避けられるかもしれないし。
だいいち住所がわかんないじゃ、辿り着けるかが怪しいし。
それでも駅に向かうしかないって、ひたすら走った。
後ろで自転車のベルが鳴る。
あたしがジャマなんだな、って思って右側を空けたら間もなく追い抜かれて
キキーッ
急にブレーキをかけて、その自転車があたしの前で停まった。
うちの学校の制服 ――
ツンツンってした髪型を見て、すぐに誰かわかった。
「林田くん……」



