そのとき、気だるそうにしながら吉井が入ってきた。



「湊ちゃん、やっぱり俺が恋しくて戻ってきた?」


その手をギュっと握る。


「ねぇ 吉井!!」


「湊ちゃん! そんな瞳をウルウルさせちゃって、どうしたっていうのよ?」


「つっ 辻之内、どこに行ったか知らない!?」



吉井の表情が一変する。


ケッ ってそんな顔して

「また葵~?」

ムスくれた。



「知ってるのっ? 知らないの!?」


問いただしたのはリカ。


「なんだよー、リカちゃんまで。

 あぁ葵なら早退したよ」


「「早退!?」」


「行かなきゃいけない場所があるとかで……駅に向かったケド」


「………」