渡り廊下を走り抜けながら目にしたものがある。


窓から見えるそれは、昨日までブルーシートを被っていた。


グイーン と唸る重機の音がする。


(取り壊されるんだ……)



あの日、

あの古い校舎の中で彼は、何度もキスをしてくれた。


何度も優しく抱きしめてくれた。


“約束”したんだ。


『……契約は2ヶ月。保管期間は9月24まで…』



いまはもうわからない。


嫌われてるのかもしれない。


でもあの時は通じてあっていたのかも。


これも自惚れかもしれない。


それでもいい。


幼なじみが帰ってしまうから、あたしはその代用……?


それでも会いたい、話がしたいの。


バカみたいだってわかってる。


確かめたいの。