1階まで降りて廊下を進む。


少し歩いたところであたしは、角を曲がりこっちへ向かって歩いてくる人物に気づいてしまった。


近くには他に人はいなくて。

このままでは一人っきり同士、すれ違ってしまう。


意識しすぎて

ただでさえ緊張してるのに、余計に硬くなってしまう。


心臓がドキドキ鳴りだした。



やっぱりこの前みたいに避けられるかな……?


でもこの前って、辻之内はなんのためにあたしの家まで来たんだろ。


ずっと気になってたけど、やっぱりもうそんなこと知ることもできない。


あれからあたし達は、もう目が合うこともなくなっていた。



終わりにしようって思っても、一度火がついた想いはなかなか冷めてはくれなくて。


それでも毎日、歯をくいしばっている。


早くちゃんと前を向きたいから。