「校内でナンパなんて毎度毎度よくやるよね」


超絶に短いスカートを履いた女の子を見送った後で、隣に立つ吉井を見上げた。


「そんな軽蔑の目で見るなって」

「別に軽蔑なんてしてないわよ。ただ呆れてるだけ」

「相変わらずひでーなー。
 あ、それより俺になんか用があったんじゃね?」


吉井に言われて思いだした。
そうだ、あたし急いでるんだった。


「ねぇ、辻之内探してるんだけど知らない?」

「葵? 知らねー。
なんだよ。湊ちゃん、俺を追っかけて来てくれたかと思ったのに、また葵かよ?」

「ま、またって、そんないつも辻之内のことなんて探してないよ。日直の時だけだし」


そうよ。

“日直当番” なんとも煩わしいその存在のせいで、あの "辻之内 葵" にあたしは、いつも手を焼かされてるんだ。

出席番号順に当番を回す! なんて誰が決めたか知らないけど、辻之内と同じ番号のせいで毎度悩まされてるんだから。