恥ずかしそうにキスされたことを打ち明けてきたリカの顔が浮かんだ。



そして ――


……辻之内も、そうだったの?


あたしの気持ちに気づいてて、それで……



そうは思いたくない。でも ――


悔しくて、悔し過ぎて、涙が滲みそうになる。



「バカにしないでよっ!!」



持っていたバッグを大きく振り上げた。


ボコッという音と共に、腕に伝わる手ごたえ。



はだけた胸もとを押さえながら、あたしは勢いよくドアを開けた。