「なんでって、そりゃあアイツが俺のこと好きだから?」


まるで他人事みたいに言って笑う。


「でもさー、慣れてないっつーかガチガチ過ぎて引いちゃった、さすがに。
そんで、そのあとへ進めようとしてんのに空気読めねーし。あんなのメンドクサ過ぎっつーか、だから処女ってヤだよな」


って、今度は声に出して笑った。



なに笑ってんのよ ――?



体のあちこちがピリピリと痺れるみたいな感覚がして。

自分でも顔が強張ってるのがわかる。

喉の渇きを感じながら、ゆっくりと訊く。



「…それでいいの?」


「は?」


「自分のこと好きだからって、だったらキスでもなんでもしていいなんて……そんな風に思ってんの?」



あたしの言葉にナカジーは、はぁーとため息をついて。

ニヤけ顔で答えた。


「それはいいんじゃないの? 俺のこと好きだったら、工藤だって満足でしょ?

ホントはさ、どっちかっていったらオマエ狙いだったんだけど。あの日、足ねじって先帰るから」