「ふたりでさ、どっか行かない?」


ナカジーの、思いもしないそんな言葉に顔を上げると、彼は妖しい目つきであたしのことを見降ろしていて。


「どういう意味?」


訊き返すと、口の端を持ち上げて薄く笑った。


「あんなグループ交際みたいに、つるんでたってつまんねーじゃん? あいつら置いて行かない? 俺んちでもいいけど。うちの親、遅くまで帰んないし」


なんなの、それ……?


耳を疑ったけど、目の前にいるナカジーの目を見て紛れもない真実だと認識する。


「どういうつもりか知らないけど。あたし、そんな気ないから」


冷たく言い放ってドアノブへ手をかけた。



「きゃっ」


後ろから羽交い絞めされるみたいに抱きつかれて、思わず声が出た。


「なにするのっ!?」



首すじにかかる息。

顎を掴まれて、力づくで横へ向けられる顔。