いいことない、ついてない ――


繰り返しナカジーが熱唱する姿を眺めながら、あたしはぼんやりそんなことを思っていた。


コケてばっかりだし。

しかも今回は、足首まで痛めちゃうし。


なにより一番の痛手は失恋だよね。


なんだか、神様に見離されたような気分。


もうすぐ研究発表会だってあるし。


みんなが見ている前に立つなんて。

辻之内もいる前で、一緒に仕上げたレポートを読み上げるなんて。

嫌だな……もう“心理学”の話にも触れたくないのに。




「足、痛い?」


話かけられて我に帰る。

顔を向けると、心配そうに林田くんがこっちを見ていて。


「ううん。こうやってじっとしてたら平気」


答えると

「そっか。それならよかった。
なんか暗い顔してたから痛むのかと思って」

と彼は白い歯を見せて笑った。