「その幼なじみって、辻之内の家で見たあの写真の女のコだよね?」


「そうだよ。家出してたんだ。それが急に帰ってきてね」


「家出?」


「3年前に親子ゲンカが原因でね。
3年も連絡してこなかったくせに、突然電話で『帰るから迎えにきて』って。それで家出してたことも音信不通だったことも、なんにもなかったみたいに振る舞われて。参るよね」



と、苦笑いして見せた辻之内。

その細めた目は、とっても優しい色をしてる。


それは、愛しさの表れ?

あの彼女のことが好きだってこと……?



「そう、なんだ…」


「ずっと探してたから、会えて安心したよ」



柔らかく笑った。

その笑顔は、あたしに向けられたものじゃない。


こんなに傍にいるけど。

言葉をかけられたのはあたしだけど。


笑顔の先にいるのは、あたしじゃない。


そうなんだよね?