「え、女?」
「カノジョかな?」
「キャー! 年上!!」
「ウソっ、王子のカノジョ!?」
運転席から降りてきた人物を見て、みんなが口々に騒ぐ。
女の人が出てきたってだけでは、“カノジョ”だなんて言わないはず。
でも、スラリと背が高く髪の長いその女性が見せつけた素振り──
それを目撃したから、みんながこんなに騒いでいるんた。
車から降りて辻之内に歩み寄った彼女は、寄り添い彼の腕に手をかけた。
この距離でもはっきりと確認できた様子。
サングラスをしてるけど、美人だって思った。
きわどい丈のスカートから伸びる長い足。
細い腕が辻之内の腕に絡んで――
校庭に居合わせた女子生徒達からあがる悲鳴のような声。
辻之内ファンがショックを受けてるのかな……?
そしてあたしも、硬直したようにその場に固まっていた。



