そうだった。
恋って、こういうものだった。

ちょっとしたことで心が躍って、うれしくてたまらなくなって。世界中に向かって叫びたくなるほど大好きだって思う。

そして、ちょっとしたことで心が沈んで切なくてたまらなくなって。すぐに駆けだして好きな人の胸に飛び込みたくなることだってあるの。


そうだった。

誰かを好きになるってこういうことだったんだ。

思いだしながら噛みしめる。この恋が走りだしたことを。

あたし、辻之内のことを好きになったんだ。

大好きになったんだ。