胸元から、さわやかな香水の香りがした。
顔を上げるとキラキラした瞳と視線がぶつかって ──
「大丈夫?」
耳もとで囁かれて、あたしの心臓が小刻みなビートを刻む。
「王子もいたんだあ~♪」
リカの弾んだ声にハッとした。
「ご、ごめんっ」
慌てて体を離したら、ふわりと微笑まれて。
「転ばなくてよかった」
「え。
あっ…う、うん……ありがと」
想定外の不意打ち登場に、バクバクっと胸の中が騒いだ。
鏡を見なくてもわかる。きっと今のあたしは、マックスで赤面してる ──
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