「もうっ、笑いすぎだってばっ」
「だって時田、”空を飛びたい”なんて言ってたから」
って涙目にまでなることないじゃないっ。
「高所恐怖症のくせに空なんて飛べないだろ? って言いたいんでしょ?」
「そうじゃなくて」
「じゃあなに?」
「ハンググライダーも気球も、高いところが苦手だから断られたわけだ」
その問いかけに観念してコクリと頷くと、辻之内は柔らかく微笑んだ。
「俺と飛ぶのが嫌なわけじゃないんだ。
そっか……ほっとしたよ」
そして瞳を細めて、それにさ、って優しく見つめてくる。
「まったく」
「……?」
「時田、可愛いすぎるよ」
と、また微笑った。