そして、事件は、その翌日に起きた。
“事件”なんて言ったあたしにリカは、大げさだって笑ったけど。
そんなことないっ。これは紛れもない事件だよ!
「ねぇ、時田?」
日誌に目を落としたままで呼びかけてきた辻之内。
「なに?」
「今日って、欠席者いた?」
「えっとね、真杉さんかな」
「ま、すぎ……ね」
日誌の上をペンを握った辻之内の綺麗な手が動く。
「よし。完成、っと。これでいいかな?」
辻之内が顔を上げたら、キラキラお目々と視線がバチッてぶつかった。
「どうしたの?」
「う、ううん、なんでもない………それじゃ、日誌置いてこよ?」