「夏美?」 「えっ?」 「ハハッ、どした?」 ハッとするあたしの顔を見て、春ちゃんが笑う。 「えっ、あぁ…ぼーっとしてたかも」 気付いたら、もう授業は終わっていて。 賑やかな教室の空気に、何だかホッとした。 「清原大雅のこと?」 「えっ?」 「さっきのこと、気にしてるのかなって思って」 春ちゃんはそう言ってニコッと笑う。 「あ、ごめん、そんなことすっかり忘れてたよ」 そしてあたしがそう答えるとまた笑って。 「ハハッ、もう忘れちゃったのー?」 そう言って大笑いしていた。