早く、忘れたいのに… 「一人?」 思い出す、あの日のこと。 一年前。 高校に入学してすぐの、 あの春のことを。 「はいっ、一人…です」 学校からの帰り道。 駐輪場で自転車に乗ろうとした時、三年のあの先輩に声をかけられた。 「そうなんだ、家どのあたり?」 「あ…緑ヶ丘です」 「緑ヶ丘か!じゃあ途中まで一緒だな」 そして、何故かあたしは先輩と一緒に帰ることになって。 ずっとドキドキしていたことを、今でもハッキリと覚えている。