ジョウは、何とかサロンに分かってもらおうと必死でサロンに食らいついて、諦めようと言う様子は微塵も見せない。


しかし、どこまでも頑固に強情を張り続けるジョウに、ダルディは既に疲れ切っている様子で、もう、これまでに何度も何度も深く息を落としている。


これではもう、どちらかが譲らなければ、いつまでたってもこの調子だろう。


しかし、この分ではどうやらサロンが根気負けしてしまうのが目に見えているようだ。



「じいさん、俺はいつだってじいさんに従ってきただろう?

我が儘など言った事あるか?

・・・・・そんな俺の最初で最後の我が儘なんだよ。頼む・・・・・わかってくれよ」



ダルディは言い返す言葉もすでになくなっていた。


今まで育てた自分の孫がここまで強情だったとは知らなかった。


ダルディは腰かけていたソファ-から立ち上がり、暖炉の方へ歩いて行った。



これで何度目だろう?


暖炉の上には木の小箱が置かれていて、その横には古びたパイプがある。ダルディはパイプを手にし、それを口に銜えると、小箱を持ってソファ-へと戻った。


昨日から夜通しでジョウと言い争っていたダルディは、返す言葉を失う度に、溜め息をついては、こうしてパイプに煙草の葉を詰め込んで火をつけている。



「店を開ける時間だ!しっかり考えておいてくれ。しかし、イエスの返事しかオレは聞かないが・・・・・」


ジョウは、そう言葉を残し居間を出た。