「ジョウ君、その条件を呑んでくれなければ、ミサは私が連れて行く。いいね?

そう、ダルディ殿には伝えてくれ。

ダルディ殿も可愛い孫に幸せになってほしいだろうからな・・・・・」


 サロンは笑いながらジョウにそう伝えた。


「お父様・・・・・!」

「大丈夫だよ、ミサ。私はおまえとの約束は必ず守る・・・・・。そう伝えてくれるね、ジョウ君?」


サロンは変わらず笑ったまま、しかし、声と口調は厳しく、本気でジョウに条件を訴えていた。


ジョウはよく考え、それから、しばし間をおいて答えた。


「はい、分かりました・・・・・!これが私の運命の別れめだと思い、その条件を承知致します!!」と――。


 ミサは驚いた。


「ジョウ!いや、やめて。・・・・・そんな、もしも・・・・・おじいちゃまが許してくれなかったらどうするの?」

「大丈夫だよ、ミサ。オレを信じて、オレは必ず君を手に入れるよ。――必ず!」


(・・・・・この様子だと、今度こそ、この娘にあの人形を与えてやる事ができそうだ)

 サロンは、無意識的に微笑んでいた。


「そうしてくれるのならば金にいとめは付けん。なんとか宜しくお願いしたい」


 そして、その夜はどうか全てが旨く行くように・・・・・三人は神に祈って乾杯した。


「さあ、一段落ついたところで踊ってくるがいい」


 サロンは酒の酔いに任せ、気分よくミサとジョウに話しかけた。


「そうね、踊りましょうよ、ジョウ!」


 ミサは喜んでサロンの意見に賛成するが・・・・・・。


「しかし、ダンスは本当に苦手で全く駄目なんです」


「ダメよ、ジョウ!いつも私とお父様が踊っているのを観てるだけなんだから。さあ立って?

私たちの婚約パーティーに、私とお父様が踊るわけにも行かないわ。ジョウのダンス音痴を克服しなきゃ!」


ミサは無理やりジョウの手を引いて、二人はダンスフロアーへと階段を駆け降りて行った。