ジュリアン・ドール

「ハハハ。そんな事か。そんなに大食いして今更言う事か?」

「だからよ。ジョウに嫌われたらどうしてくれるの?」

 ミサは半分真剣に悩んでしまった。

「そんな事、ジョウ君は気にしないさ・・・・・なぁ、ジョウ君?」

「は・・・・・はい」


 ジョウは食事にも余り手を付けず、二人の会話をぼんやり聞いているだけだった。


 サロンはそんな様子のおかしいジョウに気付き、気を使って尋ねた。


「どうした? ジョウ君・・・・・料理が気に入らなかったか?」

「いえ、そんな事ないです。とても美味しいです」


ジョウはそう答えながら、慌てて銀のスプ-ンでス-プをすくい、口へと運んだ。


「そうか。ならいいが・・・・・」


ミサにはジョウの顔が何となくこわばっている様にみえていた。例の事を言い出すきっかけがつかめないでいるのだろう・・・・・きっと。


「お父様・・・・・」


ミサは、自分からきっかけを作ろうと、父に呼びかけた。そして、自分の口の中に含んでいた料理をワインと一緒に流し込み、手にしていたナイフとフォ-クを置いた。


「ん?」

「今日はね、ジョウがお父様に大事な話があるそうよ」


ミサが告げると、サロンもミサの改まった姿勢に手を休め、話を聞く態勢を取った。


「何だ?改まって、急に何の話を?」と、サロンは尋ねた。

「さあ、ジョウ・・・・・・」