クリーニング代が勿体無いからと、スカートのポケットにあるハンカチを取り出さず、そのまま素手で押さえる。
保健室に行けば、また手も綺麗に洗ってくれるだろうし、絆創膏か包帯でもしてくれるだろう。
保健室の先生にまたお世話になるな、と思いながら階段をタンタンと降りていく。
今になってやっと、痛みを感じてきた。
出血量が予想以上だったので、ちょっとだけ不安。
私は、血が苦手なのだ。
前に目を向かせれば、嫌でも視界に真っ赤な血は飛び込んでくる。
逆剥け程度の血だったら、別に構わないんだけど。
彫刻刀で深く刺した経験が無いから、こんな傷の痛みは知らない。
「痛い……」
今月になって、2種類の痛みを感じる事になるとは。
昨日叩かれた頬はもうすっかりだが、これは結構かかるかもしれない。
涙目になっていくのをじっと耐えながら、保健室へと足を進める。
廊下にも、事件現場のような血痕がついてしまった。
……後で拭いておこう。


