妙に張り詰めた空気が漂う。
聴こえるのは、部活動生の元気な声と、私の心音のみ。
逃げたい。
開き直るなら、今だ。
「軽蔑なんて、しないよ」
先に沈黙を破った才木くんは、柔らかな口調でそう言った。
「本当に……?」
信じられない。
未成年で、女子高生で、しかもこんな小説書いているのに。
「人が書いている作品を否定したり、いくら官能小説だからって、作者を軽蔑するなんて、可笑しいと思わない?」
彼はふわっと笑うと、私の前に来て、しゃがみこむ。
「だから、奈神さんのことを軽蔑しない。本当だよ?」
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