「才木…くん」
もう1回言おう。
「誰?」
眉間にしわを寄せたまま、ミーハーの希里に訊く。
「信っじらんない!」
流石に愛想を尽かしたのか、自分の首が取れそうなほどに横に振る。
「実依ぐらいよ!そんなの言ってるのは!」
希里から非常識と思われたようだ。
私から言ってみれば、希里も私と同じくらい非常識だと言えるが。
「才木くんって、カッコイイでしょ?」
「ああ、整ってて綺麗な顔だね」
「実依、表現が気持ち悪い」
悪かったね。
「……まぁいいや。学年トップなのは実依って言うのは、誰でも分かること。
じゃあ、2位は?」
「誰?」
人様の順位まで気にしている人は、結構居るものだ。
目の前に居る、希里みたいに。
「それが才木くん」


