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「奈神さん。この問題を前で解いて下さい」
私の机の前でにっこりと笑っているのは、昨日の馬鹿教師。
「分かりませんってさっきから言ってるじゃないですか」
「そんな事はないでしょう?奈神さん、この間のテスト、数学満点だったじゃないですか」
アンタと喋りたくないの!!
私に何か恨みでもある訳?!
……あ。
右手、包帯巻いてる。
そういえば私、昨日思いっきり引っ掻いちゃったなー……。
顔を見ないように、顔を真横に向ける。
すると。
「せんせーい。その右手、どうしたんですかー?」
希里が無邪気に訊いてきた。


