空になったアイスの容器と、まだ半分以上残っているスポーツ飲料。
先生が出て行った後もごろりと寝ていたから、頭はぼんやりするも、気分は良かった。
さっきのことを思い出すと、やっぱり照れてしまう。
何が「もっと恥ずかしいこと書いてるくせに」よ。
好きで書いている訳じゃない。
ありがちなパターンを出して、その通り書いたら、思いの外評判が良かったからだ。
そんなこと、今はどうだっていい。
明日会うのに、どんな顔して会えばいいのか。
「こんな顔で会える訳ないじゃない……っ!」
恥ずかしくなって、布団に包まると、ドアがガラッと開いた。
「失礼しまーす……。実依ー?まだ寝てる?」
「希里?」
ベッドから身体を起こし、名前を呼ぶと、希里がこちらに駆け寄って来た。
「もう大丈夫?きつくない?ちゃんと水分補給した?」
「大丈夫大丈夫、ね?ほら、もう起き上がれるし」
「良かったぁ……」
希里は私の制服を持って来てくれた。
これでもうこのゴスロリを着ることはないと思うと、ほっとするような、寂しいような気がする。
「うちのお化け屋敷学年1位だったんだよ。実依のおかげだね」
「そんなことないよ。皆頑張ってたし。良かったね」
「実依がこんな格好までしてくれて、暑い中座ってくれてたからだって!今から後夜祭だから、早く着替えて行こ!」
シャッと白いカーテンを閉められると、私ものろのろと黒いゴスロリを脱ぎ始めた。


