“スキ”を10文字以内で答えよ




机の上には、一杯分のスポーツ飲料と、バニラアイス。



「アイス、ありがとうございます」

「この格好で買いに行くの、結構恥ずかしかったんだからな?」

「なら着替えて行けば良かったじゃないですか」

「着替えがどっかに行ったんだよ」



先生は、不服そうに溜め息を吐くと、「さっさと食わねぇと溶けるぞ」と言った。





カップアイスは、少しだけ溶けていた。

急いで買いに行ってくれたのかな。




「いただきます」



舌に載せると、さらりと溶けるアイス。
久しぶりに食べたからか、身体がまだ火照っているからか、やけに美味しく感じた。




「美味いか?」

「美味しいです」

「なら良かった。お前さ、ずっとあの真っ暗な教室でその暑苦しい格好してたろ?俺が居たからすぐ運べたけど、気付いてもらえなかったら今頃病院だぞ」

「ああ、先生が運んでくれたんですか?ありがとうございました」




運んでくれた……?




聞き流したふりをしてみたけれど、後になってじわりじわりと恥ずかしくなってきた。

今度は顔が火照っていくのを感じながら、アイスを口に運んだ。




「なんだお前。今日はやたら素直じゃねぇの」



頭を撫でられ、恥ずかしさが頂点に達する。



「いや、別に先生のおかげですからお礼を言うのは当たり前かと」



照れ隠しバレバレな早口で答えてしまった。




「そんなことで照れんなよ。……俺まで恥ずかしくなってくるじゃねぇか」

「えっ?先生照れてるんですか?今日はやけに素直なんですねぇ」

「お前早くアイス食えよ」




何この空気。

逃げ出したい……!!