“スキ”を10文字以内で答えよ




***


その後の記憶は、全く無い。


目が覚めたら、保健室の真っ白なベッドに横たわっていた。



身体を起こしてみると、頭が軽かった。
斧は無い。
頬にぺたりと手を載せてみれば、メイクも取られていた。



ベッド脇の机に、2リットルのスポーツ飲料と、紙コップが置いてある。

これ、飲んでいいのかな。




「……いただきます」




誰も居ないのか、私の声だけ虚しく響く。

遠くの方で、後夜祭の準備をしている音が聴こえる。
時計を見ると、針は5時を指していた。



2リットルのペットボトルは重たく、落としてしまいそうだ。


どうにかしてこれを飲まないと。




一度ベッドで伸びをし、身体を動かしてみる。

うん、多分大丈夫だ。



またスポーツ飲料に手を伸ばすと、ドアがガラリと開いた音がした。

保健室の先生かな?

何かお小言を言われるのは嫌だなあ。




カツカツとこちらに向かってくる靴音が鳴り止むと同時に、保健室に似つかわしくない、執事の格好をした先生が立った。




「……先生?」

「おお、目ぇ覚めたか」

「はい。もう、大丈夫なんですけど……」

「大丈夫だけど?」




「それ、注いでくれませんか?」