睨み上げると、ポカンと間抜けに口を開けた先生の顔。
あれ、もっと露骨に厭らしい顔してるのかと思ってたけど。
「その格好、すごいですね……」
「どうも」
「ああ、写真撮ってあげましょうか。記念に」
「いいです」
「実依そんな事言わない!先生どうぞ!」
希里が腕を掴んで、無理矢理笑顔を作らせようとする。
仏頂面の写真を後で渡されるのも癪だから、わざとらしく可愛い笑顔を作った。
パシャッ。
音が響いたのと同時に、先生がとても良い笑顔を浮かべた。
「可愛く撮れましたよ」
その笑顔が、原稿を渡した時の、あの意地の悪い笑顔だった。
視線も、口元も、いつもの先生のだ。
「……っ、希里、早く行こ!」
恥ずかしくなって、今度は私が腕を掴んで走り出した。
希里が「ちょっと!」と声を上げたのを無視し、唇を噛みながら走る。
何であんな笑顔……!
ここ学校でしょ!
ムカつく!!


