“スキ”を10文字以内で答えよ




商店街を逃げるように猛ダッシュし、2つめの交差点で息を整える。


スタミナ無いくせに、こんな炎天下で走っちゃって。
馬っ鹿みたい。




肩で息を吐き、青信号になったところで普通に歩き出す。

急に足を止めたからか、両手の荷物がやけに重たく感じた。






いきなりあんなこと言ったけど、大丈夫かな。

今更考えたって、もう言っちゃった言葉は消せないけど。



考えを振り払うように髪を上げ、荷物を持ち直す。





じわじわと痺れる足をゆっくりと運びながら、学校へと戻った。










***



教室へ戻ると、出迎えてくれたのは、3体のマネキン人形だった。



「実依お疲れー!すっごいでしょ?これ!結構リアルに仕上がったよねー」

「うん……。すごいね……」




マネキン人形を小脇に、嬉しそうに話す希里がちょっとだけ怖い。



「あのさ、これ、差し入れだって。メロンパン」

「美味しそー!あ、実依の叔母さんの家じゃん。行ってきたの?」

「うん」




やたらリアリティのあるマネキン人形と目が合ってしまい、メロンパンを食べる気が失せる。




「いっぱい用意してくれたの。良かったら食べちゃって。私はいらないから」