運転をしながら、夕日にキラリと眼鏡のフレームを輝かせた池田さんは、静かだがやる気に満ちた顔をしていた。


水無月のことでいっぱいだった俺の頭が、休憩中池田さんに声をかけられた時点へと引き戻される。


「あぁ、そういえば。チャンスって何です?」


すると、池田さんはルームミラーで俺を見てにやりと笑った。


「映画の主演俳優オーディションの話が来た。もちろん受けるよな?」


主演――。


きかれなくたって答えは決まりきっている。


「もちろん受けて、勝ち取りますよ。」


いいチャンスだ。


水無月祈織を越えてやる!


それに、主演になれば、
―――あの人も認めるかもしれない。