天使未満。


テーブルが一面、水浸しになる。


「ごめんなさいっ!」


「いいのいいの。今、フキン持ってくるからね」


おばさんが、カウンターへ行ってしまった。

ああもう、恥ずかしいっ!

こんなところでお水ひっくり返してるなんて、まるでお子ちゃまじゃない!?

おばさんが持って来てくれたフキンで、渡辺先生は丁寧にテーブルをふいてくれた。


「濡れなかった?」


「大丈夫です……」


まさに保護者のような態度。

あたしの事を気遣ってくれるのは嬉しいけれど、完璧に子ども扱いだよ。


「ごめん、おばさんにからかわれて嫌だったんだろう?」


「え?」


「多感な中学生に、あんな話を振られても困るよな……」