しかもあたしにぴったり、つまり、あたしのイメージはお蕎麦ってこと!?
ちょっと微妙なんですけど。
お店ののれんをくぐり、渡辺先生がずんずん中へ入る。
「渡辺君、いらっしゃい!」
お店のカウンターから、おばさんが声をかけてくれた。
「こんにちは! カツどん2つお願いします。
あ、俺のは大盛りで!」
そっか。お蕎麦屋さんだけど、ここで食べるのはお蕎麦じゃなかった。
あたしのための縁起かつぎで、カツどんを注文してくれたんだよね?
渡辺先生って、実は結構あたしに気を遣ってくれてるような気がする。
……おみくじの『待ち人』を思い出して、ちょっとだけドキドキした。
身近な人、だけど、あたしは渡辺先生の事をほとんど知らないし、先生もあたしの事なんて成績と母子家庭だってこと位しか知らないはず。



