天使未満。


深夜、電話のベルが鳴った。

こんな時間にかかってくるのは、いたずら電話かな。

気持ちよく眠ってるのに、全くもう!

電話線を抜こうかと思ったけれど、違ったら困るので一応出ることにした。

寒い中、ベッドから出るのだっておっくうなのに。

しぶしぶリビングへ行き、受話器を取った。


「もしもし」


「こんな時間にごめんね。芹香ちゃんかい?」


「……マスター?」


お母さんが勤めているバーのマスターからだった。


「落ち着いて聞いて欲しいんだけど、さっきこっちに連絡があって、お母さんが交通事故に遭ったんだ」


「……ええっ!?」