天使未満。


「約束通り、ケータイ返してくれる?

それで、受験が終わるまでパケホを解約して欲しいの。

じゃないと、遊んじゃいそうだからさ」


今は通話とメールだけにしようと思った。

誘惑に弱いあたしはまた、乙女ゲーにハマっちゃうかも知れないもん。

……渡辺先生の思うツボになんかならないんだから!


お母さんは、クローゼットをごそごそしてあたしのケータイを持ってきてくれた。


「1ヶ月放置してたから、バッテリーが0になってるわ。

充電して、パケホ解約したあとで渡すから、一晩待っててね。

約束通り頑張ったもんね」


バッグにあたしのケータイと充電器を入れて、お母さんは今日も美女オーラを振りまきながら出勤する。


いつもの風景のはずだったのに……。