天使未満。


飛鳥と別れて、市営団地へ。

階段を上って、二階の我が家のドアを開けると、やっぱり今日も待っていたお母さん。

テストの点数は事前に知らせてあったから、機嫌がいいらしい。


「ただいま~。

順位表、もらってきたよ!」


「おかえり。早く見せて!」


手渡すと、お母さんの顔がしだいに輝きだした……気がする。


「芹香! すごいじゃないの!

やっぱりやればできる子ね!

お母さん、嬉しいよぉっ!!」


お母さん、いくら嬉しくても、ほっぺにちゅーするのはやめてってば。

あたしをいくつだと思ってんのよ!?

しかも出勤前のメイクしたばっかりの口紅、べったり付くじゃないの!