「ああ、前にテレビでやってたよね。
母子家庭の子とか、タダで勉強みてもらえるんでしょ?
いいよねぇ、マンツーマンなのにタダなんてさ」
ちょっと、嫌な感じに聞こえた。
他の子も、何かひそひそ話している。
でもね、聞こえてるんだよ、いや、あたしに聞こえるように話してるんでしょ?
「土曜塾って、普通の子は行けない塾なんでしょ?」
「そうそう、母子家庭とか、お金のない子しか受け入れてくれないんだって」
「だから行けるのかぁ。いいよね、母子家庭の子はいっぱい助けてもらえてさ」
「給食費とかだって払わなくていいんだよ」
「何それ~! 不平等じゃない?」
あたしは静かに前を向いて、成績表をカバンにしまった。



