残されたあたしは、テーブルに置かれた500円玉を自分のお財布に入れる。

……晩御飯なんて、どうでもいいよ。

あたしはまた、冷蔵庫に入っているペプシでお腹を満たそうと考えた。


ここ、2DKの市営住宅があたしの家。

お母さんは、あたしを妊娠して高校を中退した。

あたしを産んでからすぐバーで働きはじめて、女手ひとつで育ててくれている。

小さい頃は夜間保育園が我が家みたいな感じ。

保育園の先生と一緒にいる時間のほうが、お母さんとの時間よりずっと長かった。

小学校へ入学してからは、家でひとりきりの夜を過ごす。

お父さんは、いない。

詳しいことは知らないけれど、お父さんが乗っていた車の名前と、あたしの名前は同じらしい。

アラサーのお母さんと中学生のあたしは、よくケンカもするけれど、友達みたいな親子だったりする。