「同情だったら、いりませんよ」
言葉だけ聞いたら、まるで哀れな子どものようなあたしの存在。
でも、あたしと同じくらいドキドキしているのが、胸に置かれている掌を通じて伝わってくる。
真剣にあたしの事を想ってくれているのなら、もっと聞かせてください。
あなたの気持ちを。
「同情なんて、最初からしてないよ。
芹香のそんな強気なところ、逆境を跳ね返そうとする姿勢を尊敬した。
だから、芹香が大人になったころ、俺も一人前になって迎えに行こうと思ったんだ。
……そうじゃなかったら、抑えが効かなくなっても困るし。
好きだから、こうしたいって思うのは、自然なこと……」
渡辺先生の瞳に映るあたしが、だんだん大きくなって。
それを見るのをやめて、目を閉じた。
優しい気持ちが伝わるような、柔らかい感触を唇に感じて、あたしは本当に愛されてるんだって思った。



