「知ってる?
今だから言うけど、俺も芹香の気持ちが嬉しかったって。
必ず芹香より前に図書館へ入って、君の指導ができるように待機していたんだ」
「うん、もしかしたらそうだったかなって思っていました。
あたしもあれから、土曜塾のボランティアに行って気付いたんです。
ひとりの生徒に専属で指導することはできないシステムだって知りましたから。
でも、渡辺先生は必ずあたしに付いてくれた……」
「君も毎回、俺を探していただろう?
俺が付いたら、嬉しそうに勉強をはじめて、憎まれ口をたたきながらも頑張ってたよね。
子ども扱いされることを嫌ってるのに、しぐさや態度がまるっきり子どもでさ。
何てわかりやすいんだろうって思ったよ。
……そして、何て可愛いんだろうって」



