それ以上、聞いちゃいけない気がした。

……沈黙。

何か他の話題を探そうと焦るあたしに、渡辺先生がまた語りだす。


「彼女の相手も、ずっと前から知ってる人でさ。

俺から見ても凄い男。

かなわないって思った。

唯一勝てたのは、ガタイの良さだけだろうな」


おどけたように話してるけど、未練たっぷりなんじゃないかなって思った。


「先生にぴったりな彼女、早く見つかるといいですね!」


「ははっ、なぐさめてくれてありがとう。

でも、俺の彼女より、星沢さんにぴったりな志望校を見つけるのが先だよ」