連絡先は、教えてもらえなかった。
渡辺先生がいないなら、ここにいても仕方がない。
あたしは塾長に自己採点の結果を伝えて、今までありがとうございましたと挨拶をした。
そのまま、図書館を出て、バスに乗る。
お母さんが入院している病院へ向かった。
土曜塾が終わったら行くつもりだったけど、早くお母さんに会いたかったから。
念のため、マスクをつけて病院へ。
いつもの四人部屋は、向かいのおばあちゃんが退院したみたいで、名前のプレートがひとつ外れていた。
お母さんも早く退院できるといいな、と思いつつ、病室へ足を踏み入れたら。
お母さんのベッドから、笑い声が聞こえた。
カーテンが途中まで閉まっていて姿は見えなかったけれど、誰が来ているのかすぐに判った。
飛鳥のお父さんだ。



