決戦の日。


母屋から朝食とお弁当を運んでくれたおばあちゃんにお礼を言いつつ、飛鳥の様子を聞いた。


「大丈夫、飛鳥は元気いっぱい!

芹香ちゃんに『頑張ってね』って言ってたよ。

飛鳥も芹香ちゃんも試験に勝てるようにお弁当作ったからね」


「本当に、ありがとうございます」


桜色の巾着を渡された。

『サクラサク』になりますようにっていう、おばあちゃんの気持ちが嬉しかった。


まだ食欲はないけれど、頑張って食べて薬を飲んだ。

大丈夫、眠くならない薬にしてもらってるんだから。

熱は下がったし、のどの痛みとかすれ声、それに鼻水さえ我慢すれば大丈夫。


持ち物の最終チェックをして、マスクをかける。

飛鳥のお父さんと、車で受験会場へ向かった。